社員コラム 第1回:今年のノーベル経済学賞受賞者の研究テーマが私の研究テーマに!!
新卒入社7カ月。鈍臭くも慌ただしい毎日を送る私の、次のミッションが遂に決まった。
ノーベル経済学賞の今年度受賞者と言えば、シムズ教授が有名(マクロ経済学を専攻している学生の方にとっては、同時受賞したサージェント教授の方が有名かもしれませんが…)です。そのシムズ教授の研究テーマとして名高いのがVARモデル(Vector Auto-Regression)。先端金融工学センターの次期研究テーマ候補にVARモデルが挙がったときからチーム入りを熱望し、祈る思いで参加希望を出していたのですが、まさか本当にメンバーに選ばれるとは!
学生時代、測度論的確率論を学び、その自然な要請として数理ファイナンスや金融工学に親しんできた私にとって、それは心躍る瞬間でした。その夜、ワクワクしながら、三ツ矢サイダーまる搾りレモン片手に課題の論文に目を通したのを覚えています。まるで、遠足に行く前の小学生の心境と言えば近いでしょうか!?
しかし、このVAR。ある意味で驚愕の事実を内包していたのです。バーはバーでもバリュー・アット・リスク(VaR)ではない。ベクトル・オート・リグレッション(ベクトル自己回帰)だったのです。即ち、バーではなく、ブイ・エー・アールだったのです。学生時代の飲み会ネタ「デリバティブといっても微分ではない(涙)」と同じくらいの興奮度と言えば、言いえて妙でしょうか。未知の領域に出会えば出会うほど、俄然意欲が湧いてきます。
VARモデルで何ができるか、またその有用性について簡潔に触れておきます。一つにはグローバルな条件下で、各国のVARの推定結果を基にして得られる損失(=確率変数)の分布をシミュレーションすることが考えられます。例えば、ある国でマイナス1%のショックが発生したとき、各国の株式で構成されるポートフォリオへの影響を分析する際に根拠のある、同時に現実味のある計測を行うことができると思われます。当たり前のように思われるかもしれませんが、これは特筆すべきことでVARを推定するという土台があるからこそなのです。
私にとっては、VARはとても魅力的です。ややもすると、心が何処かに単調収束定理してしまいそうな、いえ、もっと言えば、湯船の中か何処かにOptimal Stoppingしてしまいそうなプレッシャーに苛まれることもあります。しかしその一方で、精度が高いリスク計測を達成したい、より発展的なモデルを生み出したい等々、新卒一年目にしてこのVARの研究に打ち込めることが嬉しくて堪らないところではありますが、今回はこの辺りで筆を置くのが最適ポートフォリオと感じます。「今の私に出来ること」を日々、謙虚に積み重ねて、そしていつの日か、またこの場で報告させていただけますことを心から願っております。
ソリューション開発部 先端金融工学センター
乾 仁









